「そろそろお箸の練習を始めたほうがいいのかな?」
「周りの子はお箸を使っているけれど、うちの子はまだスプーンで大丈夫?」
「保育園でお箸への移行を進めたいけれど、どのように援助すればいい?」
子どもの食事を見守る中で、お箸への移行について悩む保育士さんや保護者の方も多いのではないでしょうか。
お箸を使えるようになるためには、指先の発達やスプーンの持ち方、食具を操作する経験などが関係しています。
大切なのは、年齢だけで判断せず、一人ひとりの発達に合わせて進めることです。
この記事では、お箸への移行を始める目安や、保育園・家庭でできる練習方法、子どもへの声かけ、援助のポイントを紹介します。
1.お箸への移行はいつから始める?
お箸への移行は、一般的に3歳頃から意識されることが多いですが、必ずしも3歳になったら始めなければいけないわけではありません。
手指の発達やスプーンの使い方には個人差があるため、子どもの様子を見ながら進めていきましょう。
お箸への移行を考える目安
次のような姿が見られたら、お箸に触れる経験を取り入れてみましょう。
- スプーンを鉛筆のように3本の指で持てるようになってきた
- スプーンを使って自分で食べられる
- 手首や指先を使って食具を動かせる
- 小さな物を指先でつまめる
- お箸に興味を持ち、使ってみようとしている
すべての項目ができていなければいけないということではありません。子どもの発達や意欲を見ながら、無理のない範囲で取り入れることが大切です。
スプーンの持ち方を確認しよう
お箸への移行を考える前に、まずはスプーンの持ち方を確認してみましょう。
手のひら全体で握る持ち方から、指先を使う持ち方へと少しずつ変化していきます。
特に、親指・人差し指・中指を使ってスプーンを持ち、食べ物をすくって口に運べるようになることは、お箸への移行につながる経験です。
スプーンを十分に使いこなせるようになってから、お箸を取り入れていきましょう。
2.お箸への移行をスムーズにする5つの練習方法
お箸を使うためには、指先を細かく動かす力や、物をつまんだり離したりする経験が必要です。
食事の時間だけで練習するのではなく、日常の遊びの中にも指先を使う活動を取り入れてみましょう。
① トングで物をつまむ
トングを使い、スポンジや大きめのフェルトボールなどを別の容器に移す遊びです。
トングを開閉する動きは、指先を使って物をつまむ経験につながります。
最初は大きくてつかみやすい物から始め、慣れてきたら少しずつ小さな物に変えていきましょう。
保育のポイント
「上手につかめたね!」「こっちのお皿に入れてみよう」と声をかけ、できた喜びを共有します。
② 洗濯ばさみ遊び
洗濯ばさみを開いたり閉じたりしながら、紙や厚紙に挟んでいく遊びです。
指先に力を入れたり、力を調節したりする経験ができます。
動物のイラストに洗濯ばさみを付けて足やたてがみを作るなど、子どもが楽しめる遊びにすると取り組みやすくなります。
保育のポイント
子どもの手の大きさや力に合った、開閉しやすい道具を選びましょう。洗濯ばさみの誤飲や指挟みにも注意し、大人が見守ります。
③ スポンジの移し替え遊び
小さく切ったスポンジを、トングや適切な練習用の箸で別の容器へ移す遊びです。
物をつかむ、運ぶ、離すという一連の動作を経験できます。
慣れてきたら、色ごとに分けたり、制限時間を設けずに何個移せるか数えたりするなど、遊び方を工夫してみましょう。
※小さなスポンジは口に入れると危険です。誤飲の心配がある子どもには使用せず、必ず大人が近くで見守りましょう。
④ 粘土遊び
粘土を丸める、伸ばす、ちぎる、指で押すなど、さまざまな動きを楽しみます。
指先だけでなく、手全体を使う経験にもなります。
丸めた粘土をお団子に見立てたり、細長く伸ばしてヘビを作ったりすると、遊びながら自然に手指を動かせます。
⑤ シール貼り・ひも通し
シールを台紙からはがして貼る遊びや、ひもに大きめのパーツを通す遊びもおすすめです。
指先でつまむ、力を調節する、目で見ながら手を動かすといった経験ができます。
子どもの発達に合わせて難易度を調整し、できたことを一緒に喜びましょう。
3.保育園でのお箸への移行を援助するポイント
保育園では、クラス全員が同じ時期にお箸へ移行するのではなく、一人ひとりの発達や食事の様子を見ながら進めることが大切です。
① 一斉に始めず、個々の姿に合わせる
同じ年齢でも、スプーンの持ち方や指先の使い方には違いがあります。
お箸を使うことに意欲的な子もいれば、まだスプーンで食べることに集中したい子もいます。
周りの子と比較するのではなく、その子に合ったタイミングでお箸に触れる機会を設けましょう。
② 食事の時間を楽しくする
食事中に何度も持ち方を注意されると、食べること自体が嫌になってしまうことがあります。
持ち方を伝える場合は、食事の前に短時間で確認したり、遊びの中で練習したりするとよいでしょう。
食事中は、食べようとする気持ちや自分で挑戦する姿を認めることを大切にします。
③ スプーンとお箸を併用する
お箸を使い始めても、最初から最後までお箸だけで食べる必要はありません。
お箸で食べにくい料理や、疲れてしまったときにはスプーンなども使えるようにしておきましょう。
食べることに時間がかかりすぎないように配慮し、十分な食事量を確保できるようにします。
④ 保育士同士で援助方法を共有する
担任によって伝え方や援助の方法が大きく異なると、子どもが戸惑うことがあります。
食事中の様子や使いやすい食具、できるようになったことなどを職員間で共有しましょう。
園全体で子どもの発達を見守ることが、お箸への移行を支えることにつながります。
⑤ 家庭と連携する
保育園でのお箸の使用状況や、家庭での食具の使い方について保護者と情報を共有しましょう。
園でお箸を使い始めたからといって、家庭でもすぐにお箸に統一する必要はありません。
子どもの負担にならないよう、家庭と園で相談しながら進めていきましょう。
4.お箸の持ち方を伝える方法
お箸の基本的な持ち方は、次のように段階を分けて伝えると分かりやすくなります。
ステップ1:下のお箸を支える
下のお箸を親指の付け根付近と薬指で支え、安定させます。
まずは下のお箸を動かさずに支える感覚を知ることが大切です。
ステップ2:上のお箸を動かす
上のお箸を鉛筆のように持ち、親指・人差し指・中指を使って動かします。
下のお箸を固定したまま、上のお箸を開いたり閉じたりする練習をしましょう。
ステップ3:物をつまんでみる
持ち方や動かし方に慣れてきたら、スポンジなどをつまんで別の容器へ移す遊びに挑戦します。
初めはつまみやすい物を選び、少しずつ難易度を上げていきましょう。
持ち方を一度に完璧にしようとせず、子どもができる動きを少しずつ増やしていくことが大切です。
5.お箸への移行でよくある悩みと対応
Q.周りの子がお箸を使っているのに、うちの子はまだスプーンです
焦る必要はありません。
お箸を使い始める時期には個人差があります。まずはスプーンを指先で持って使えるか、食具に興味を持っているかなど、今の姿を確認しましょう。
必要に応じて、お箸に触れたり、遊びの中で使ってみたりする経験から始めてみてください。
Q.補助箸を使っているのに、普通のお箸が使えません
補助箸と一般的なお箸では、指の動かし方や操作の仕方が異なります。
補助箸が使えるからといって、すぐに普通のお箸も使いこなせるとは限りません。
スプーンやトングを使った遊びを取り入れたり、一般的なお箸を短時間試したりしながら、子どもの様子に合わせて進めましょう。
Q.お箸の持ち方を何度教えても、元に戻ってしまいます
慣れないうちは、使いやすい持ち方に戻ることもあります。
食事中に何度も直すのではなく、食事の前に持ち方を確認したり、遊びの時間に練習したりする方法がおすすめです。
一度に多くのことを求めず、できている部分を認めながら繰り返し経験できるようにしましょう。
Q.お箸の練習を嫌がります
無理に練習させず、いったんお休みしても大丈夫です。
お箸への興味が出てきたときに使えるように、保護者や保育士がお箸を使う姿を見せたり、指先を使う遊びを楽しんだりすることから始めましょう。
食事の時間が楽しいと感じられることを優先します。
6.お箸への移行で大切にしたいこと
お箸を使えるようになるまでには、指先の発達や食具を扱う経験の積み重ねが必要です。
早く使えるようになることだけを目標にするのではなく、次のことを大切にしましょう。
- 子どもの発達に合わせて始める
- スプーンを使う経験を十分に積む
- 遊びの中で指先を動かす機会を作る
- できたことを認め、自信につなげる
- 食事の時間を楽しく過ごす
- 家庭と保育園で情報を共有する
また、お箸は口に入れたり、人に向けたりすると危険な道具です。遊びや食事の際は座って使用することを伝え、大人が安全を見守りましょう。
まとめ
お箸への移行は、年齢だけで決めるものではありません。
スプーンを指先で持って使えるようになってきたか、お箸に興味を持っているかなど、子どもの姿を見ながら進めることが大切です。
保育園や家庭では、トング遊びや粘土遊び、シール貼りなどを取り入れながら、楽しんで指先を使う経験を重ねていきましょう。
周りの子と比べず、その子なりの成長を認めながら、無理なくお箸への移行を支えていきたいですね。

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